AIが持っていた「提携申請6社」というタスクは、4社が存在しなかった|TODOは実査で棚卸しする

🧭 この記事の前提
AIエージェント(Claude Code)に、記事の執筆から作業計画まで任せている個人サイトの話です。やることリストもAIが更新しています。人間が毎日レビューしていません(平日1時間しか使えないため、そこは意図的に手放しています)。
困ったのは、「前提が誤っているタスク」が数週間リストに残り続けていたこと。AIは毎日それを引き継ぎ、優先度まで付けていました。
持ち帰れるもの:AIにタスク管理をさせている人向けに、「そのタスクの対象は実在するか」を確かめる棚卸しの手順を出します。自分でTODOを書いている人には不要です。
結論:AIのTODOは、進捗ではなく前提を疑う
📌 先に結論 ① AIはもっともらしいタスクを作る。 対象が実在するかは確認しない ② 誤前提のタスクは消えずに毎日引き継がれ、優先度まで付く ③ 棚卸しは進捗確認ではなく「対象を数える」作業
① 「残り6社」を実際に調べたら、4社が無かった
リストにこう書いてありました。
SaaS系ASPの提携 — 残り6社(文賢 / Shodo / tl;dv / Rimo Voice / CLOVA Note / ユーザーローカル)
収益化の最優先タスクとして、数週間ここに載っていました。ところが実際にASPの管理画面で1社ずつ検索したら、4社は掲載自体がありませんでした(検索0件)。
「6社と提携する」というタスクは、前提から成立していませんでした。
② 1社ずつ実査した結果
代わりに公式サイトを1社ずつ当たったところ、状況は4通りに割れました。「無い」で終わらなかったのが、実査の収穫です。
| サービス | 実際にどうだったか |
|---|---|
| tl;dv | ASPには無いが、自社で直接プログラムを運営していた。 月額の25%が継続で入る(累計上限$10,000)。しかもログイン後のGiftアイコンから審査なしで固有リンクが即発行できる。所要5分 |
| Rimo Voice | プログラムはあるが、アフィリエイトではなくB2Bのセールスパートナー制度。報酬が「アポイント獲得ごと」で、記事から踏むクリック計測型のリンクが提供されていない。ブログ収益化には構造的に不適合 |
| Shodo | 公式サイトのナビとフッターを全項目確認したが、パートナー/アフィリエイト/紹介/代理店のページが1つも無い。第三者サイトは「もしもにある」と書いていたが、それはキーワードの曖昧一致による件数表示で、個別案件の存在を示していなかった |
| ユーザーローカル | 有料版が存在しない。 成果報酬の対象が原理的に無い。確定で諦め |
読み取れることが2つあります。
- 「ASPに無い」は「提携できない」ではない。 tl;dvは自社直営で、しかも最も条件が良く、最も手続きが短かった
- 「プログラムがある」は「使える」ではない。 Rimoは制度としては存在するのに、リンクの形が合わないので成果が発生しない
⚠ 覚えておく一行 タスクの対象が実在するかは、実際にその画面を開くまで分かりません。 6社という数字は、どこから来たのかも辿れませんでした。
③ 同じ構造のタスクが、他に2件あった
棚卸しをかけたら、同じ形の誤前提タスクが他に2件出てきました。3件とも、性質が違うのに壊れ方は同じです。
| リストにあった記述 | 実査した結果 |
|---|---|
| SaaS系ASPの提携 残り6社 | 4社はASPに存在しない |
| 先行発注した画像ぶんの記事を書く(残り10本) | 画像を数えたら未使用は0枚。 74枚すべてが74記事に配線済みで、書く在庫は残っていなかった |
| 掲載順位11〜30位の記事をリライトする | 対象が1本も無い。 検索表示が出ているページが3つしかなく、11〜30位に該当する記事が存在しなかった |
3件とも**「もっともらしい」タスクです。** どれも一般的な運用では正しく、優先度も高い。だから誰も疑いません。
そして3件に共通していたのは、対象の件数を一度も数えていなかったことです。
- 6社 → ASPで検索していない
- 残り10本 → 未使用画像を数えていない
- 11〜30位のリライト → 該当する記事を数えていない
④ なぜAIに任せると膨らむのか
AIが嘘をついたわけではありません。構造的にこうなります。
| 起きること | なぜ気づけないか |
|---|---|
| もっともらしいタスクが作られる | 一般的な運用では正しい施策なので、誰も疑わない |
| 前提が誤っていても、毎日引き継がれる | 引き継ぎは「書いてあること」を渡す仕組みで、書いてあることの真偽は検査しない |
| 優先度まで付く | 施策の重要度は前提が正しければ正しいので、優先度は正しく計算される |
| 完了が積み上がる | 別のタスクが毎日終わるので、進捗しているように見える |
いちばん厄介なのは3つ目です。誤前提のタスクほど、いつまでも終わらないので、リストの上位に居座り続けます。 終わるタスクは消えていき、終わらないタスクだけが残る。結果として、リストの上のほうが誤前提で埋まります。
同じ「対象を数えていなかった」失敗は、キーワード選定でも踏んでいます(→AIに74本書かせた結果)。自分で書いた方針文書を、次の実行が参照しなかった件は自分で決めた上限を1晩で使い切った話にあります。
⑤ 棚卸しの手順
進捗を確認するのではありません。対象を数えます。
- リストの上位10件を書き出す。 下位は放置でよい(誤前提は上位に溜まる)
- 各タスクについて「対象は何件あるか」を1行で書く。 「6社」「10本」「11〜30位の記事」など
- その件数の出所を確認する。 どこかで数えたのか、それとも文章から出てきただけか
- 数えていないものは、実際にその画面を開いて数える。 検索する、ディレクトリを数える、管理画面にログインする
- 0件だったタスクは削除する。 直さない。前提が誤っているタスクは、修正ではなく削除
- 削除した理由を1行残す。 これをやらないと、次にAIが同じタスクを再生成する
6番が肝です。実際、削除した項目を「なぜ誤りだったか」つきで別のセクションに残してあります。理由の記録が無いと、同じタスクがまた出てきます。
⑥ 棚卸し後に残ったもの
3件を潰した結果、このカテゴリの残作業は「10分の手続き」だけになりました。
- tl;dvにログインしてGiftアイコンからリンクを発行する(5分・審査なし)
- ASPにログインしてShodoを検索し、有無を1行書いて調査を閉じる(5分)
数週間「残り6社」として載っていたものの実体が、これでした。
📌 ここだけ持ち帰るなら AIのTODOで疑うべきは進捗ではなく分母です。「残り6社」の6が正しいかを、誰も確かめていませんでした。
やりがちな失敗
| 失敗 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 進捗だけをレビューする | 誤前提のタスクは進捗0のまま居座る | 対象の件数を数える |
| 「ASPに無い」で調査を終える | 自社直営の好条件を取り逃す(tl;dvは25%リカーリング) | 公式サイトのフッターまで見る |
| 「制度がある」で提携できると判断する | クリック計測型リンクが無ければ成果は出ない | リンクの形まで確認する |
| 誤前提のタスクを直そうとする | 存在しない対象に工数を割く | 修正せず削除する |
| 削除の理由を残さない | AIが同じタスクを再生成する | 「なぜ誤りだったか」を1行残す |
AIに毎朝の定型作業を任せたときに同じ穴を踏んだ話はAIエージェントの定時実行、セッションをまたいで前提が腐る問題はAIへの引き継ぎ設計にまとめています。
まとめ
- AIのTODOは、対象が実在するかを検査しない。 もっともらしさは正しさの証拠にならない
- 誤前提のタスクほど終わらないので、リストの上位に残る
- 棚卸しは「対象を数える」作業。 進捗確認ではない
- 削除するときは理由を残す。 残さないと同じタスクが再生成される