AI画像を89枚検品したら、20枚が物理的にあり得なかった|モバイルモニターの記事にPCケースを載せていた原因

AI画像を89枚検品したら、20枚が物理的にあり得なかった|モバイルモニターの記事にPCケースを載せていた原因

🧭 この記事の前提 記事の執筆はClaude Code、画像の生成は別のAIという分業をしています。Claude側は画像を生成できないので、指示書を書いて発注し、納品された画像を検品して取り込む形です。
この記事は「検品したつもりで、していなかった」という失敗の記録です。89本の記事の画像を全数チェックしたら、20枚が不合格でした。
持ち帰れるもの:AIに記事画像を作らせている人向けに、何を見れば嘘をつかない検品になるかを、落ちた20枚の実例で出します。画像を自分で撮っている人には不要です。

結論:ファイル名で検品すると、記事と画像の対応が壊れていても気づけない

📌 先に結論画像は「記事タイトルと並べて」見る。 ファイル名から中身を推測して検品しない ② 最初に見るのは美しさではなく、その情景が現実に起こり得るか合否を機械に決めさせない。 画像の中身は機械では読めない

サイトを見た知人から「写真のクオリティは上がったけど、脈絡がない」「前の方が記事のイメージがわきやすかった」と言われました。

確認したら、そのとおりでした。

① 「モバイルモニターの記事」にノートPCのケースが載っていた

いちばん分かりやすい1枚がこれです。

「モバイルモニターは在宅で使えるか」という記事のトップ画像が、ノートPCを入れる布のスリーブケースでした。モニターが1台も写っていません。

なぜ気づかなかったのか。私が画像を「ファイル名」で検品していたからです。

記事の設定ファイルには、どの画像を使うかがこう書いてあります。

image: "/images/zaitaku-kakuchou-monitor.jpg"

ところが私は、この行を見ずに monitor.jpg という名前のファイルを開いて「モバイルモニターの画像だな」と判断していました。その記事が実際に使っているのは別のファイルです。

さらに悪いことに、同じ日に私は monitor.jpg を「モバイルモニターの記事の画像」だと思って作り直していました。直した先が違っていたので、サイトの見た目は何も変わっていません。

教訓:画像の検品は、ファイル名からではなく設定ファイルから始める。 「この記事はどの画像を指しているか」を確認してから、その画像を開く。順番を逆にすると、 正しい画像を作って、間違った場所に置くことになります。

② 89枚を全数チェックしたら、20枚が不合格だった

対応表を機械で作り、1枚ずつ記事タイトルと並べて開きました。結果は 89枚中20枚が不合格です。

落ちた理由は、きれいに2つに分かれました。

型A:物理的に成立していない(10枚)

記事写っていたものなぜ成立しないか
モニターライトを1年使った話バーライトが机に平置きで光っているこの製品はモニターの上部に挟んで使う。机に転がっていることはない
奥行き60cmに27インチは置けるかメジャーが机の外の空中に浮いている支えが無い
肩こり・腰痛対策クッションが**背もたれの裏(椅子と壁の間)**にあるそこにあったら座れない
夏の暑さ対策保冷剤が机の角に乗り、タオルが椅子に掛かっている落ちる。そして誰もこう置かない
セキュリティ対策覗き見防止フィルムが剥がれかけ、床にシュレッダー屑が散乱対策ではなく事故現場に見える

共通しているのは「物を、人が実際に置く場所に置いていない」ことです。

写真としては上手いのに、部屋に入った人が見たら「何かがおかしい」と思う。この違和感は、写真の完成度が上がるほど強くなります。粗い絵なら気にならないものが、精密になるほど目立つからです。

型B:記事の話が写っていない(10枚)

いちばん多かったのは空っぽの部屋を撮ってしまう型でした。

記事写っていたもの
集中できない原因と対策7選何も載っていない机と、床にダンボール1箱
狭い部屋でも作れるワークスペース家具の無い空室に、壁へ立てかけた天板1枚
やる気が出ないとき空室に椅子1脚。机もPCも無い
正しい座り方リビング用のアームチェア。デスクが無い
AI翻訳ツールの精度比較装飾の罫線だけが違う無地のカード3枚

最後の1枚が象徴的です。3枚=3ツールという連想はあるのに、翻訳された文字が1文字も写っていません。

教訓:記事タイトルに出てくる語が、写真の中に物として存在しているか。 「集中」なら集中を妨げている物、「座り方」なら椅子と机の高さの関係、「翻訳」なら訳された文。 空っぽの部屋は、どの記事の答えにもなりません。

③ 機械のチェッカーでは1枚も検出できなかった

この20枚のうち、自作の検査スクリプトが引っかけたのは1枚だけでした。

作ってあった検査は2つです。

  • 明度差の検査 — 240pxに縮小してグレースケールにし、標準偏差と明暗の幅を測る
  • 文字の可読性の検査 — 文字が乗る領域のばらつきを測る

どちらも「読めるか」しか測っていません。「その情景が現実に起こり得るか」も「記事の話か」も、画素からは分かりません。

しかも以前、この可読性の検査に騙されたことがあります。「見出しの2行が融合している」と8枚をNG判定したので3回作り直しを発注し、4回目を出す直前に実物を開いたら、6枚は行間も可読性も何の問題もありませんでした。文字が黒いモニターに重なると、インクの分布が被写体ごと繋がって1本に見えていただけです。診断名が最初から間違っていたので、3回とも間違った直し方を指示していました。

→ 機械の指標を決定権者にした失敗の詳細はAIスキルは入れた瞬間から腐るに書いています。

そこで、検査から合否を出すのをやめました。

いま動いているスクリプトがやるのは1つだけです。「まだ人が実物を見ていない画像はどれか」を出す。判定は目視の結果を書いた台帳を正とし、一度okにしたものは再報告しません。新しい画像を置くと必ず「未実査」として出るので、見ないまま公開されることが無くなります。

合否を出す検査は、間違ったときに嘘をつきます。 「見るべき順番」だけを出す検査は、間違えようがありません。

④ 画像生成AIを乗り換えた(同じ指示で結果が割れた)

不合格20枚を直すにあたって、同じ指示文を2つのAIに渡して比べました

指示は「モニターの上端にモニターライトが正しく挟まっている状態。ライトは点灯し、光は画面ではなく手前の天板を照らす」。

結果
これまで使っていたAIバーライトが机に平置きで発光。何度指示を書き直しても、製品がどこに固定されるかが再現されなかった
乗り換え先のAIモニター上端に正しく挟まり、光が手前の天板に落ちている。記事の要点である「明るさより光の向き」がそのまま絵になった

肩こり・腰痛の1枚も同じでした。クッションが**背もたれの内側(腰の当たる面)**に入り、机との位置関係まで見える角度で出てきました。

差が出たのは「物と物がどこで接しているか」の再現です。 写真としての完成度では前者も高かったので、美しさでは判別できませんでした。

→ この「良さそうに見えるものを数字で潰す」やり方はAIの成果物は目視でなく実測で検証するにまとめています。

自分でやる手順

  1. 記事の設定ファイルから、その記事が指している画像を確認する(ファイル名から推測しない)
  2. その画像を開き、記事タイトルと並べて見る
  3. 順番に問う
    • その情景は現実に起こり得るか(物は人が置く場所にあるか)
    • 記事タイトルの語に対応する物が、写真の中に存在するか
    • 実際に表示される幅(一覧なら240px前後)に縮めて、主題の輪郭が背景から分かれるか
    • 主題が枠の外で切れていないか
  4. 判定を台帳に書く。 一度okにしたものは再検品しない
  5. 差し替えるときは、指示文に「物がどこで接しているか」を必ず書く

やりがちな失敗

  • ファイル名で中身を判断する — 記事と画像の対応が壊れていても気づけません
  • 美しさから見始める — 完成度が高いほど、物理的な破綻は見つけにくくなります
  • 合否を機械に決めさせる — 画像の中身は画素からは読めません。誤診したときに気づけません
  • 記事の結論がすでに絵になっているものまで差し替える — 「同じ石が5つ並び、1つだけ形が違う」のような画像は、触ると必ず悪化します。直す対象から明示的に外すこと

まとめ

  1. 画像はファイル名ではなく、記事の設定ファイルから引いて検品する
  2. 最初に見るのは美しさではなく、その情景が現実に起こり得るか
  3. 89枚中20枚が不合格。 内訳は物理的に成立しない10枚と、記事の話が写っていない10枚
  4. 機械の検査が引っかけたのは1枚だけ。 合否を出す検査はやめ、「まだ見ていないもの」を出す検査に変えた
  5. 同じ指示でもAIによって「物がどこで接しているか」の再現に差が出た

画像を縮小してから検品する話はAI生成画像を原寸で検品してはいけない、記事ごとに何を写すかを決める話はAIの記事画像が全部「机にノートPC」になる問題にまとめています。

量産全体で何が壊れたかはAIに74本書かせた結果にあります。